未来への道(5)  



 正直、不安だった。

 俺の『鷹目』での立ち位置は、正直微妙なところだと思う。兄貴にくっついてあそこに住んでいるようなもので、仕事をしているわけでもないし、何か役に立っているわけでもない。そんな俺を、お荷物でしかないような俺を、ホークス達は助けてくれるだろうか。
 そもそも、ホークスはナギを気に入って『鷹目』に引き入れたのだ。俺がいなくなったところで、痛くも痒くもないだろう。いや、むしろ、ナギがいなくなった方が困るに違いない。
 それなら、こんな敵の真ん中にナギ出て行くことを、ホークスが許すのだろうか。

 もし、俺がホークスならどうする?

 『鷹目』の利益を最優先にするならば、助けには来ないし、行かせない。むしろ、見捨てる。そして、汚い手を使ったという事を利用して、他のギルドと手を結び『矛』を貶める。
 だが、彼がそういうことをする人間ではない事は、俺だってわかっている。感情論だけでいうならば、多分、『矛』に憤り俺を助けようとしてくれるだろう。
 俺の存在がどうとか、そういう問題ではない。信条に反するから、助ける。

 微妙なところだ。

 どちらを優先するのか。元締めとしての役目を全うしようとするか、それとも自分に正直に動くか。
 いや、考えても仕方がない。

 小さく首を振って、木製の扉を睨みつけるようにしてみる。
 俺が何を考えていたところで、向こうに影響を及ぼすことは出来るはずはないのだ。それなら、俺は何を考えるべきか。何をするべきか。
 外に対して俺がいる事をなんとかして知らせるか。それができなくても、せめて自分が生かされるようにしなければいけない。
 なら、どうするか。
 単純だ。俺を生かさなければならないと、そう思うように誘導すればいい。俺が不要だと思えば、捨てられればいいものだが、殺されてしまう可能性だってゼロじゃない。そうである以上、俺が『鷹目』に対して影響力がないというような、そういった発言は避けるべきだ。
 問題は、向こうがどこまで知っているのか、か。
 廊下の向こう、多分あの先にあった扉が開いたらしい鈍い音を聞きながら、考える。
 先ずは相手の目的。そして、どこまで知っているのか。これを聞いてからだ。それが分からない以上、迂闊に答えるわけにはいかない。

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