池の幽霊(夏の肝試し編)
ハリポタ親世代二次リクの消化です。
上述の単語のうち、一つでも分からない人は回れ右。
ついでに俺設定大歓迎な人のみ↓へどうぞw
「……それで、出たんだよ」 「何が?」 「幽霊がっ」 驚かそうとしたシリウスの努力は、残念ながら、報われなかった。大きな声にピーターはビクっと肩を震わせたが、それ以上の反応は得られなかったし、ジェームズは何を言っているんだというように目を瞬かせただけだったし、リーマスに至っては興味なさそうに、「へぇ」と呟いただけだった。 「なんだよー。もっと驚けよ」 むっとして言えば、だって、とジェームズはいつものぐしゃぐしゃの髪を掻き混ぜて、にやりと笑った。 「ほとんど首なしニックだろ、それ」 「ちげぇよっ」 「そもそも、幽霊なんて珍しくもないしね」 シリウスの叫びにリーマスが答え、ぽんとピーターの肩を叩いた。呪縛が解けたかのようにきょろきょろしたピーターが、そうだよね、と自身を安心させるように、呟く。なんだ、ピーターには効いてたのか。けど、ジェームズにもリーマスにも驚かれないんじゃ、つまらない。 「ジェームズ、いいだろ。どうせ、暇なんだしさぁ」 シリウスが言うと、ジェームズは深刻な表情でこちらを見てきた。 「……知ってるか、シリウス」 「何だよ?」 「あそこ昔、事故で死んだ生徒がいるって」 「うわあああっ」 大きな声で叫ばれて、シリウスは思わず耳をふさいだ。 「ピーター、煩い」 口を尖らせて言うと、ピーターはびくりと身をすくめて、だって、と言葉を紡ぐ。 「だ、だって、ジェームズがっ」 本気で怯えているらしいピーターを見て楽しそうに笑ったジェームズが、といっても、と言葉を続けた。 「もう、何十年も前だけどな」 「なんだよ、期待させといて」 むっと唇を尖らせて抗議すれば、シリウス、とリーマスに睨まれた。 「そういうこと、言わないの」 「へいへい。でも、嘆きのマーテルみたいにさ、死んだ奴がそこでうろついてるんなら」 「シリウスっ」 「不謹慎だって、監督生がお怒りだぞ、シリウス」 「振っておいてあっさり翻るなよ!」 「だって、その方が面白いから」 「裏切りものっ!」 「んで、いつ行く? 今夜?」 あっさりと自分のペースを作ったジェームズに聞かれて、ああ、と小さくうなずく。 「早い方がいいだろ、暇だし」 「じゃあ、リリー誘ってくるなっ」 元気よく立ち上がったジェームズに、いやいやいや、と慌てて声をかける。 「俺達だけでいいだろっ」 「馬鹿シリウスっ! 肝試しでか弱い女性の悲鳴がなくてどうするんだよっ!?」 「誰がか弱い女性だよ?」 「もちろん、リリーに決まってるだろっ! きゃーって抱きついてくれるんだぞ。もちろん俺限定」 「いや、絶対無い。それだけはないっ! っていうか、下心みえすぎ!」 「いいんだよ、リリー限定だからなっ! というわけで、行ってくるっ」 「おい、ジェームズっ!」 呼び止めようとしたが、当然そんな言葉を聴くジェームズではない。シーカーらしいしなやかな身のこなしでシリウスの手をすり抜けて、談話室の出口へと向かった。多分、リリーがいると思われる、図書館へ向かったのだろう。 「……ちぇ、なんだよ」 不満そうに呟いて、椅子にどっさりと腰を下ろしたジェームズを見て、リーマスは苦笑し、まあまあ、と慰めるように声をかけた。 「いいじゃない。どちらにしろ、暇つぶしにはなるよ」 「そうだけどさぁ」 「しょうがないよ、ジェームズなんだから」 「……わかってるよ」 答えて、うし、と気合を入れて立ち上がる。 「幽霊に効きそうなもん、なんか探しに行こうぜっ! あと、今のうちに現場検証っ」 にやっと笑って言えば、リーマスは笑って、ピーターはしぶしぶと言った様子で、うなずいた。 うまくいったようだ、とレギュラスはにやりと笑った。友人に幽霊の話を流すように頼んで、回りまわって、兄の耳に入る。そうすると、あの好奇心の塊の犬のような兄のことだから、当然それを調べよう、と言い出す。時間はその日の夜。 全て、計算通りだった。 「というわけで、スネイプ先輩、一緒に来てくださいよっ」 「……何故我輩が行かなければならぬのだ」 楽しげなレギュラスの言葉に迷惑そうに答えて、スネイプは本のページをめくった。薬草学の教科書だ。 「先輩だって見たいでしょ、兄貴がぎゃふんって言ってる所」 「本当に『ぎゃふん』というならな」 「言います、言わせますよ。だから一緒に来てくださいよー」 べたーっと机の上にくっついて、こちらを見上げてくるレギュラスから逃げるように、体の向きを変える。面倒くさい。さすが兄弟だ、とこういうときに思うのだが、それを言うとまた面倒くさいので、黙っていた。 「……エヴァンスも来るらしいんすけど」 「…………」 「ポッターの奴が、誘ったみたいですよ。まあ、予想通りっちゃあ、予想通りなんですけどね。エヴァンスって、幽霊怖がるんですかねぇ? きゃーっとか言って、ポッターの奴に抱きつ……」 バンっと、本を机の上に置くと、驚いたレギュラスがこちらを見上げてきた。そして、にやりと、楽しそうな笑みを浮かべる。 「先輩、来ます?」 「……ふん、仕方がないな」 「あざーっす」 楽しげに笑うレギュラスをじろりとにらんでから、スネイプは小さくため息をついた。 夜になり、レギュラスの後について森の中に隠れた。ごそごそと荷物の中から小さな玉を取り出すレギュラスを横目で見て、何だそれは、と尋ねる。 「おもちゃか」 「脅かし玉ですよ。こいつにターゲットの名前を吹き込んでやると、火の玉みたいに燃えて、追いかけるんです」 「ふん、ブラッジャーみたいなものか」 「いやぁ、軽くぶつかったら消えちゃうみたいなんすけどね。もっと強力なの探したんすけど、これが一番面白そうだったんで。やっとのことで譲ってもらったんですよー」 「譲って?」 「そうです。チョコのおまけカードをコレクションしてるっていうんで、それと交代で。あいつ、ダンブルドアばっかり持ってるからって、全部俺に押し付けてきたんですよ、ひどくないですか?」 「……そうだな」 「やっぱり、先輩もそう思いますよねっ! なので、今度帰った時に、ダンブルドアカードを全部、兄貴の部屋にばら撒いてやろうかと思ってるんです。もちろん、全部のカードに何かトラップでもつけて。どうですか?」 「大変そうだな」 作るのが。そういうつもりで言ったのだが、確実にレギュラスには通じていない。 「兄貴、絶対困ると思うんですよっ! 今から楽しみで楽しみでっ!」 楽しそうに言うレギュラスに、そうか、とうなずく。色々突っ込みたいところはあったが、面倒なのでやめた。 「と、いうわけで、ターゲット登録」 レギュラスの『ターゲット』という言葉に反応して、玉が淡い光を発した。ほう、と声が漏れそうになるのを我慢する。 「ターゲット、シリ……」 「ピーター、そんな怖がらないで。大丈夫よ」 「だ、だってぇ……」 ぴっと小さな音がして、玉がターゲットを認識した。浮かび上がりそうになった玉を慌てて抑えて、しゃがみこむ。がさっと音がしたが、それに気付く様子もない奴らは笑いながら通り過ぎ、見えなくなった。 「……」 「……」 「……おい、レギュラス」 「な、なんでしょうか」 「取り消して、ポッターかお前の兄貴に変えられないのか」 聞くと、彼はしばしの沈黙の後、無理っす、と答えた。 「じゃあ、これ自体、消すことは」 「目標に当たるまで、消えません」 「それじゃあ、」 「……先輩」 「何だ」 「……抑えるのも、限界っす」 言うと同時に、光の玉がレギュラスの手を逃れ浮かび上がり、凄いスピードで、飛び出した。 「ピーター、そんな怖がらないで。大丈夫よ」 「だ、だってぇ……」 泣きそうな顔をしたピーターを見て、ジェームズとシリウスが楽しそうに笑った。にやにやと笑みを浮かべたシリウスが、リリーと、その後ろに隠れるピーターの前に回り込み、 「わっ」 「うわぁっ」 後ろに居たジェームズの声にピーターが本気で驚き、振り返ったリリーがきっと彼のことを睨んだ。 「ジェームズっ!」 「びっくりした?」 「びっくりした、じゃないでしょっ! そういうのをやめなさいって言ってるのっ」 「はぁーい」 笑みを浮かべながら子供のような返事をするジェームズに、リリーがため息をつく。そんなやり取りをにやにやと眺め、シリウスはふと、リーマスが別の方面を見ていることに気付いた。 「リーマス、どうした?」 「……あそこ、何か動かなかった?」 茂みの方を指差されて、シリウスはじっとその辺りを見た。だが、暗くて何も見えない。光を出してもいいのだが、それでは雰囲気がでないからと、今日は出さないで行こうとの約束だ。 しばらくその空間をみて、 「ああっ! 何か光がっ」 「うわぁああっ」 「シリウス、僕が見たのは光じゃないよ」 「りり、リーマスまでっ」 怯えるピーターを見て軽く笑い、そうだったな、とリーマスの言葉に返答する。 「俺には見えないぜ」 「そう」 軽くうなずいたリーマスの肩を、ジェームズがばんと叩いた。そして、 「まあ、今から幽霊に会いに行くんだから、どっちでもいいさっ」 と元気よく言い、リリーとピーターの方を振り返る。 「何か来たら、俺とシリウスが撃退してやるからさっ! あ、リリーは怖かったら俺に、」 「結構よ。大体、幽霊なんているはずないもの」 「またまたぁ。信じたから来たんでしょー?」 「勝手なこと言わないでよねっ! 私は、リーマスだけじゃ貴方達を抑えるのは大変だって思って、付いてきたんですっ! 幽霊なんて、別に――ひゃあっ」 びゅん、と目の前を光が走った。驚いたリリーをジェームズが支えて、シリウスとリーマスは横によける。が、 「うわあぁああっ! 何、何これぇっ」 「ピーターっ」 逃げ遅れたピーターを追いかけるように、光が飛んだ。転がるようにして逃げたピーターを、更に光が追う。 「いやだ、助けてっ」 泣きながら走り出すピーターを見て、やばいな、とシリウスは思わず呟いた。 「あっち、池だよな?」 「ありゃ落ちるね」 冷静なリーマスの声にあわせるように、ばしゃん、と水音が響いた。 池まで駆け寄ってみると、ピーターがじたばたと暴れているのが見えた。先ほどの光は、もう見えない。 「おーい、ピーター! 大丈夫かっ」 「そんなに深くない、泳いで来い!」 ジェームズとシリウスが順番に声をかけるが、聞こえているのか居ないのか、更にピーターはじたばたと暴れるだけで、段々と池の中ほどへと流されていく。ソレを見て、大変、とリリーが声を上げた。 「ジェームズ、助けてあげてっ」 「……そうしたいのは山々なんだが……」 「ここで助けられる人って、凄くかっこいいわっ」 「一番、ジェームズ・ポッター、行きますっ!」 即答だった。 おい、と慌てて止めようとしたシリウスの手が届く前に、ジェームズが池に飛び込み……ぶくぶくと沈んでいくのが、よく見えた。 「おい、ジェームズっ!」 シリウスが大きな声で呼びかけるが、聞こえているのか居ないのか、沈んでいく一方だ。 「うそ、ジェームズって、泳げなかったの?」 「ううん、泳げるんだけど……あれは、多分……」 リリーの言葉に何か言いかけたリーマスをさえぎるように、ちょっと待ってろ、とシリウスが声を上げた。そして、ばたばたとローブを脱いで、 「あ、シリウス、ま……」 待って、という言葉を聴くより先に、池に飛び込んでしまった。池の真ん中、ジェームズがおぼれた当たりまで泳いで行き、 ぶくぶくぶく、と沈んでいく。 「え、え? どういうこと?」 「水中人だよ。……もう、勝手に飛び込むから……」 ため息をつきながらリーマスが言い、しょうがないなぁ、と呟き、急に後ろを振り返った。 そして、いるんでしょう、と声をかける。 「ちょっと手伝ってよ」 「え、誰か居るのっ?」 驚いたリリーに笑って答えて、早く、と再び声をかける。がさがさと、彼らが隠れていたらしい木がゆれるのが見えた。 一方で、声をかけられた方は慌てていた。 「……ど、どどどどうしましょう先輩っ」 「我輩に聞くな……」 ため息をついてスネイプが答えれば、レギュラスは再び、どうしようとあたふたし始めた。見ていても面白いのだが、その場合、あの狼男の反応が恐い。エヴァンスが居るところで出て行くのも、格好悪いのだが……あの狼男が確実にばらしてくれそうだ。 「あの、誰かいるんですかー?」 エヴァンスの柔らかく可愛いらしい声が響く。出て行かないで済めばいいが、恐る恐る振り返ってみると、そこにいた狼男と目が合った。最悪である。 「しょうがない、行くぞ」 「えええ、ちょ、マジっすかっ」 「ああ」 黙って隠れていた方が末恐ろしいと、何故こいつは気が付かないのか。説明するのも面倒なので、茂みから追い出して、自分もそれに続く。転がり出たレギュラスと自分を見て、エンヴァス驚いたように目を丸くしてこちらを見てきた。 「いつ気付いたの?」 「さあねぇ」 リリーの疑問にリーマスが微笑みながら答えて、こちらを見てくる。本当に、嫌な笑みだと思った。 「それで、ちょっと手助けをして欲しいんだけど」 「……何だ」 何故だ、と問いたかったが、そうすればこの馬鹿なレギュラスの仕掛けた悪戯までリリーにばらされそうで、聞けなかった。 リーマスは満足そうに一つうなずいて、セブルスとレギュラスを順に見ると、実はさ、と詞を紡いだ。 「大きな音のするもの、何か持ってないかと思ってさ。どうかな、セブルス」 「ないな」 笑顔で聞いてきたリーマスに即答して、ふんと顔をそらす。 リリーが悲しそうな顔をしたので少々胸が痛んだが、一度こういった以上、撤回するつもりにはなれない。それに、大体、持っていないのは事実だ。 「レギュラス君はどうかな?」 リーマスに聞かれて、レギュラスは何故か、戸惑うように一度セブルスのことを見た。そして池を見て(残念ながら、沈んだ三人の姿は見えなかった)、ある、と小さな声で答える。 「ひとつくれないかな」 「……いいけど、どうすんだよ?」 「ちょっとね」 用心するようなレギュラスの言葉にリーマスはにっこりと笑いながら答えて、手を差し出す。後で金払えよ、といいながらしぶしぶと渡された音玉を受け取ったリーマスは、ありがとうと言いながら杖を取り出して、とんとん、と二三度玉を叩いた。なるほどな、と思わず小さな声で呟くと、レギュラスが不思議そうな顔をしてこちらを見てきたが、まあみてろ、と池のほうに視線をやった。 「どうするの?」 「こうするの」 不思議そうに尋ねたリリーに、やはりうそ臭い笑顔で答えて、リーマスはそのボールを池の真ん中に向かって思いっきり投げた。 ぼしゃん、と小さな水しぶきが上がって、 どーんっ でかい水しぶきが上がった。 「……生きてるのか、これ」 「大丈夫じゃないかなぁ」 思わず呟いたセブルスに笑顔でリーマスが答え、ぷか、ぷか、と浮いてきた水中人を眺める。が、まだ三人は浮かんでこない。 「……ど、どういうことだよ?」 「水中人は、水の中での音がよく聞こえるように出来ているからね。大きい音で、眼を回したんだ」 レギュラスの質問にリーマスが答えたのを聞いたのか聞いていないのか、そんなことより、とリリーが慌てたように声を上げた。 「ジェームズはっ?」 「ああ、多分……」 ほらあそこ、というように池の真ん中をリーマスが指差したその先に、ぷかり、と何かが浮かんできた。そして。 「くぉらリーマスっ! 俺達を殺すつもりかっ!?」 ざばあっと上がってきたシリウスが、大きな声で怒鳴る。と、ざばっと隣に浮き上がったジェームズが、ぶるぶると首を振って、うるさいなぁ、と耳をふさいだ。 よかった、とリリーが小さな声で呟くのを聞いて、むっとする。レギュラスが音玉を出さなけりゃよかったのに。 「そう怒鳴るなよシリウス。いーじゃん、助かったんだから」 「そうだけどさぁ……おい、ピーター、大丈夫か?」 シリウスが右腕を挙げると、そこにつかまれていたらしいピーターが顔を出した。 「ピーター、何黙ってんだよーっ」 黙りたくて黙ってるわけじゃないと思うのだが。 ジェームズがどんっと背中を叩くと、ピーターはげほげほと咳を繰り返し水を吐き出して、のんやりとした様子で左右の二人を見上げた。 「……あれ、僕……」 「おーし、さっさと出るぞー。シリウス、ピーター頼めるか?」 「おう」 ジェームズのやたら明るい声にシリウスがこたえ、よくわかっていないらしいピーターを抱え挙げて泳ぎだす。その後ろについたジェームズは、さすがに反省したのか、ローブから杖を取り出して構えつつ、泳いでいた。 岸にたどり着いた三人をが上がるのを、いやいやながら手伝い、引っ張り挙げる。先ほど水を飲み込んだらしいピーターだったが、意識ははっきりしているが、早く暖かくしてやって薬湯ぐらいは飲ませてやったほうがよさそうだった。 ちなみに、リーマスに笑顔で睨まれたからし方がなく見てやっただけであり、別にピーターが心配だったわけではない。決して。 「あっれー、セブルスじゃん。何やってんだ、こんなとこで?」 「あれ、なんでレギュラスもいるんだ?」 のんきなジェームズとシリウスの言葉に、セブルスとレギュラスは、そろってむっとした。そして、 「しらん。さっさと戻るぞ、レギュラス」 「あ、はい」 言って、さっさと戻ろうとして……振り返る。 「おい」 「ん、なにー?」 「後で薬湯を持って行ってやる、そいつに飲ませておけ」 言い捨てて再び歩き出す。後ろの方で、何あれ、と不思議そうに呟くシリウスの言葉が聞こえて、余計にむっとして足を速めて去った。 「ななな、また光の玉出たんだってっ!」 「……またそれかよ」 思わず呟き、それを言ったジェームズを見ると、前の謎が解けていないせいで気になっていたらしい彼は眼をきらきらさせて、楽しそうだろ、と言葉を続けた。 いつもの談話室。リーマスとピーターはチェスをしていて、それを横からちょっかいを出すようにしながら、ピーターを手伝っていた最中だった。 「でもなー。また」 レギュラスの悪戯かもしれない、と言いかけて、飲み込む。 それについて教えてくれたのはリーマスだったが、助けてくれたのも彼だから、と黙っていてくれるように言われたのだ。 だから、苛めるとしたら、帰ってからにしようと決めた。 仕方がないので、一瞬だけ言葉を捜して、続ける。 「また、危険だったらどうするんだよ」 「だからこそ、お前の力が必要なんだろーっ」 そう即答されれば、当然悪い気はしない。 しょうがないなぁ、と答えてにやりと笑う。リーマスが苦笑して、ピーターが呆れたように「また?」と呟くのが見えたが、それは無視した。 「いっちょ、その謎を解きに行くかっ」 「よーしっ! そうと決まったら早速準備だな、行くぞシリウスっ!」 「おうっ」 答えて、いつものように走り出す。まずは現場検証して、それから噂を集めて、それから…… こうやって突っ走っている時が、一番楽しかった。
完 |
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