第一章・囮  

 浄化せよ。


 それが私に下された命令であり、使命であり、わが命の全てをかけておこなわなければならない事であった。


 浄化せよ。浄化せよ。
 不浄なものを消せ。浄化せよ。
 血を流し、不浄なる者に、救いを。
 浄化せよ。
 それがそなたの使命。


 聖水に濡れた手で額を撫でられた時、心が震えた。
 神の言葉を受けると、このような気持ちになるのだろうかと、思った。


 浄化せよ。


 それは神の命令。
 誰にも逆らうことはできぬ、誰も止めることはできぬ命。


 愚かな民たちを導くために、我らが神の命のまま。


 浄化せよ、浄化せよ。


 赤い血を流し、穢れを清めよ。





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