逃げろ。逃げろ逃げろ逃げろ。
 振り返る。銀髪の男が、まだ追ってきていた。
 舌打ちをし、角を二つ曲がったところで、


 ガンッ


 壁に打ち付けられた。


「やっと追い詰めた」


 男が言う。
 逃げようとすると、首に刃を突き付けられた。
「…安心しろ、殺さない。引き渡しもしない」
 いわれて、ほっと息を吐く。
 神はまだ私についていたのか。


「その代わり」


 目の前の男が、気味の悪い笑みを浮かべた。


「取り引きだ」



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