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 久々に、腹を抱えて笑った。
 笑うなよな、と怒るナギを見て、ホークスが更に笑う。
「そいつ、お前に惚れたのか」
「違ぇってば。可愛い女の子ならともかく、何で俺に惚れるんだよ。リクの友達だから、気にしてくれたんだろ」
「いやいやいや、それで茶には誘わへんやろ。なあ、ロイ」
「……ん」
 げらげらと笑い転げるのはホークスとデュークだったが、いつも無口で無表情なロイも、声に出して笑いこそしなかったが、面白そうに口の端を持ち上げていた。
 全くもって、真剣に考えてない。シリルはいい奴だしリクの友達だから、できるだけ穏当に、誘いを断る方法を考えて欲しいのに。
 っていうか、本当は、一番年の近いジャンに相談しようと思っていたのだが、仕事に出ていて居なかった。他に残っていたのが、まあ中心メンバーだから基本的に居るのは当然なんだけど、この三人で。
 仕方がないからシリルからお茶の誘いを受けたことを言ったら、大爆笑される始末。
「じゃあ、何で俺を誘ったんだよ?」
「せやから、一目ぼれって奴やろ。自分も、口きかんかったら、なかなかのべっぴんさん……」
「全く持って嬉しくねぇっ!」
「あぁもう、何で自分、女に生まれて来ぃへんかったんや?」
「知らねぇよっ」
 怒鳴るナギを見て、デュークがげらげらと腹を抱えて笑う。
 ホークスも、笑いをこらえているらしい。
 むっとした顔で黙ると、ずっと黙っていたロイが、声に呆れを含ませて
「……デューク」
 といさめると、彼は「すまんすまん」と軽く手を挙げて答えた。
「冗談はともかく、どないするん?」
「……だから、それを聞いてんじゃん……」
 がっくりと肩を落として言うと、また笑われた。
「リクは何だって?」
「ホークスに聞けって事だと思う。多分、ホントはイヤなんだけど、それ言うと、シリルが可哀想だから」
「適当に、その場で断れば良かったじゃないか」
「リクが自分から言うのは、やりにくいじゃん。折角、仲いいのに」
「自分は断れへんかったんか」
「むー。何か、タイミング悪かったんだよなぁ。だから、明日言えばいっかなって」
 答えて、それにさ、と言葉を続ける。
「ちょっと、リクの友達がどんな奴かって、気になんじゃん?」
「あー、はいはい。兄馬鹿兄馬鹿」
「……むぅ」
 否定はできない。
 小さく唸って、ともかく、と気を取り直して言葉を続けることにした。
「シリルに、なんとか関わらないで欲しいんだってば。どうすりゃいいと思う?」
 聞くと、ホークスはにやりと笑った。
「簡単だぞ、ナギ」
「かんたん?」
「そ。ごめんなさい、って言って軽く頭を下げときゃ良いんだ。後は、都合が悪いところじゃ首振っとけ。ごめんなさい以外、喋らなきゃ、何とかなるだろ」
 言われて、意味が分からなくて首を傾げる。
「……そんだけ?」
「そう、それだけだ」
 にやにやと笑いながらそういわれて、眉をひそめた。
 意味わかんない。
「向こうが勝手に勘違いしてくれるだろ。ごめんなさいって首を振るだけだぞ。いいな?」
 言われて、よく分からないながらも、頷いた。
「あ、分かってるとは思うけど、男だってのはバラすなよ?」
「バラさねぇよ」
 楽しげに言うホークスにむっとしながら返して、どたばたと上の部屋に戻る途中、下の階で大声で笑うホークスとデュークの声がした。

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