ホークス、と低い声で声をかけてきたジャンを見て、すぐに何を言いたいのかを理解した。目で来るように合図をし、一階の最億部に位置する自身の部屋へと招き入れる。
　扉を閉めたことを確認して、自分は部屋に置かれた机の上に腰掛け、それで、と声を出した。
「動いたか」
「ええ。早くて、今夜」
　ジャンが答えると、ホークスは小さく頷いて、口の端を上げる様にして笑った。
「お前は、そのまま続けろ。確認が取れたら、キアを行かせる」
「……あいつ、目立ちますよ」
「大丈夫だろ」
　肩をすくめながら答えるホークスに、分かりました、と返答して。では、と頭を下げる。
「見張り、続けます」
「頼む」
　ホークスの言葉に首肯して、ジャンは踵を返した。
　一緒に見張りを担当している、ロイの元へと向かったはずだ。
　動いたか、と小さな声で呟いて黙考する。
　後は、ナギ達をどう動かすのか、だが。
　すぐに思いついた方法に、我ながら嫌な方法だな、とちょっとだけ苦笑した。